一昔前なら格差問題は大きな問題としてマスコミが騒いでいた。即ち昭和25年12月吉田内閣当時の大蔵大臣であった池田勇人が「貧乏人は麦を食え」と発言して大問題化した。また、昭和27年11月には通産相であった同君が「中小企業の倒産・自殺もやむを得ない」と失言して、不信任が可決し大臣を辞任した。この様に格差の拡大を是認し肯定する事などはあり得ないことであった。だが、小泉前総理の格差肯定発言は国会でもマスコミでも、それが当然であるかのごとく扱われている。これは、わが国の政治の在り方にとっては大変深刻な問題である。「格差の問題は当然であり悪いことではない」と思うかもしれないが、不幸な人間がどんどん増えても構わないと言うことに繋がっていくことであって政治からヒューマニズムが失われてしまう。現在わが国に起きている格差の実態は深刻である。国民生活上の格差、地域間格差(都市と田舎との格差)、大企業と中小企業との格差、いずれもこれ以上放置できないほどひどい。政府による地方交付金の削減は小規模自治体に気の進まない町村合併を余儀なくさせている。その結果郵便局の効率化の名の下に無集配局がどんどん増加する。これもやがては廃局となる。過疎地域には銀行もコンビニもない。これが郵政民営化であり格差肯定の住民へのサービスなのか。郵便局縮小が急激に進行して地方の公共サービスが著しく低下している。この様な小泉前総理の構造改革によって「対立と格差」「競争と強制」の社会を続けるならば一部の人は大いに喜び莫大な資産を手にするであろうが、大多数の国民は貧困化し格差社会の底辺で喘ぎながらの生活を強いられることになりかねない。政治は全ての国民の基本的人権を守り公平で安全、安定、平和な社会を守る義務と責任がある。安倍総理は小泉前総理の負の遺産を負いすぎている。この際、人間の心を大切にする政治、国民を大切にする政治を行って貰いたい。いよいよ統一地方選挙も始まり色々な政策が掲げられているが、中央も地方も一致団結して住民のために「心ある政治」を願いたい。平成19年度の予算も成立した。この予算を執行するための法案審議はこれからです。 |