去る7月5日、郵政民営化法案が、衆議院本会議で、わずか5票の差で可決され参議院に送られた。この法案は、7月1日衆議院郵政民営化特別委員会の委員の中でこの法案に反対すると見られる8人の委員を外し、賛成派の議員に差し替えてまで採決した法案である。そして、5日の本会議での採決に当たり小泉首相は「不成立ならば、かならず衆議院を解散する。総辞職は考えてない」と述べ、廃案なら解散する強い意志を示した。また、自民党の武部幹事長は造反議員を強くけん制して「党議拘束はかかっている。従わなければ厳正に対処する」と発言して強い締め付けをおこなった。それにも拘わらず、本会議では、37人が反対の青票を投じ、14人が欠席・棄権し造反者は51人になった。この造反者の多さに驚き、政府は5日の午後の閣議で、反対票を投じた2人の副大臣と2人の政務官を直ちに罷免した。こうした厳しい攻防の舞台は参議院に移り、今週から特別委員会を設置して審議に入る。最大のヤマ場となるのは8月上旬となる見通しである。参議院では与野党の差が非常に接近しているため、自民党から18人の反対者が出れば否決される。否決されれば、衆議院を解散すると小泉首相は言っているが、こんな筋が通らない理屈はない。自民党の衆議院議員で今まで民営化法案に反対してきた議員が一夜にして賛成に替わった44名の議員にしてみれば、いま、政局にすべきではない。との深い考えがあったと聞いている。この衆議院の議員を裏切ることにならないか。 参議院で否決されれば、両院協議会を開き、出席協議委員の3分の2以上の賛成で成案を作成し、衆参それぞれの本会議で過半数の賛成を得れば成立することになっているが、そこまでして郵政民営化法案を成立させなければならないものなのか。昔から参議院は良識の府である。あまり、党議拘束をかけるべきではない。議員の意思を最大に尊重するのが参議院制度の特徴である。もし、これをを強行するならば、戦時中の東条政治と同じではないか。 |